筆者は自動車整備士の専門学校を卒業後、日産系列の板金屋と地元の指定工場で働いていました。
整備士時代は、プライベートでも愛車のカスタムやイベントに参加するほど車にのめり込んでいましたが、結婚を機に「このまま整備士じゃきつくね?」と思うようになりました。
整備士の方はご存知の通りですが、とにかく給料が安いですよね。
専門学校に入学する前から、整備士は給料が安いからやめておけと言われていましたが、家族を持つとその安さに気づかされました。
筆者は結婚して子供ができたタイミングで、安定を求めて一部上場企業の大手製造業に転職します。
そこで10年勤めた経験などを踏まえて、整備士が製造業に転職するメリットやデメリットについて解説します。
整備士から製造業に転職するメリット

整備士が製造業に転職すると、どのようなメリットがあるのか気になりますよね。
これまで積み上げた整備士としての経験が活きるのかどうか、不安になることもあります。
筆者が、整備士から製造業に転職したときに感じたメリットをまずはご紹介します。
年収が上がる
製造業に転職当初は、正直手取り額はさほど変わりませんでした。
当時の整備士としての月給は、23歳当時で総支給20~25万円弱。(手取りは15万くらい)
製造業に転職後の月給が23万円程度ですので、そもそも下がったんじゃない?と思いますが、
ボーナスで大きく年収アップします。
整備士時代はボーナス含めても380万円。
しかし製造業に転職してからは、三交替勤務ということもあり初年度から400~450万円にアップしました。
伸びしろを考えても、整備士から製造業に転職しただけで生活は狙い通り安定しましたが、
製造業に転職したメリットは年収でだけではありませんので続きをご覧ください。
福利厚生が充実する
年収以上にインパクトがあったのが、家賃補助などの福利厚生です。
私の場合、月7万円の家賃補助がありましたので、定額の12,000円で7万円までのアパートやマンションに住むことができました。
7万円あれば2LDKに住める環境でしたので、年収とは別に見えない「7万円」を付与されていたようなものです。

年間にすると「84万円」ですよ!
ですので、給与明細に書かれている数字よりも豊かな生活を送ることができました。
(しかも私の勤め先は10年間の家賃補助!!!)
もちろんその他にも扶養手当、通勤手当、出産手当、入学手当などさまざまな福利厚生が充実しています。
社会的信用が上がる
整備時代は、車のカスタムのために組めるだけローンを組んでいました。笑
しかし、製造業に転職した途端に500万円までのオートローンが組めたり、住宅ローンがすんなり通過するというメリットにも気づかされました。

ご利用は計画的に!!!
もちろん現実的なラインでローンは組みますが、地元に長年根付いている企業だからこその信用といえます。

地元の人にも「よく入れたね」と言われます
社会人としてのスキルが上がる
製造業に転職したことで、整備士では経験することがなかった社会人としてのスキルが身につきました。
整備士では触れることのなかったパソコン業務や、基本的な5W1H、職場のリーダーなどを経験して社会人としてのスキル向上に繋がったのです。
私の場合は労働組合の執行委員まで経験しましたので、整備士では見ることのなかった世界を知るきっかけにもなりました。
整備士から製造業に転職するデメリット

整備士から製造業に転職して、正直デメリットを感じることはなかったのですが、あえて振り絞って挙げてみたいと思います。
整備士のキャリアを捨てることになる
専門学校で学んだ2年間、その後国家整備士として活躍した日々を手放すことになりますので、正直ためらいはありました。
父親も工場勤めでしたが、「絶対にやりたくない」「手に職つけて働く」と心に誓っていたので、整備士のキャリアを手放して工場の一員になるのは相当抵抗があったのです。
国家整備士としての「特別感」がなくなってしまうので、製造業でその他大勢みたいな環境に身を置くことは、転職前に覚悟しておきましょう。

デメリットは正直このくらいです
整備士から製造業に転職して何ができる?

正直、自動車整備士から製造業に転職するとスター扱いです。
工場では機械の運転、メンテナンスを行うのですが、車よりも遥かに単純で工具の扱いに慣れた整備士は朝メシ前です。
整備士時代に取得した溶接や乙四といった資格も即戦力として扱われるため、整備士の経験が工場でもフルに活用できます。

なんならフォークリフトのメンテナンスまでしてましたね
ゆくゆくは保全課に異動したり、資格や経験を活かしてキャリアアップも目指せますので、騙されたと思って転職サイトに登録してみてください!
応募するしないに関わらず、自分の転職市場での価値が分かります。

意外と工場には元整備士が多いのも事実


整備士の経験は無駄にならない

転職をする上で、「自動車整備士としての国家資格が無駄になる」と思いますよね。
親に高いお金を払って専門学校に通わせてもらったので、私はすごく思いました。
しかし、整備士としての経験が腐る訳ではありません。
その後も愛車のメンテナンスを自分で行えば、車の維持費も削減できます。
私も毎回ユーザー車検ですので、他の人よりも車の維持費はかなり安く抑えられています。
また、製造業に転職してみると車好きな人が結構な割合でいますので、元整備士の話を興味津々で聞いてくれる人たちがいます。

休憩中に先輩のバイクのエンジンばらしたりもしました
なんだかんだ整備士と製造業は相性が良いので、すぐに環境に慣れると思います。
決して整備士としての経験やプライドは無駄にはなりません。
まとめ

いまや、整備士の経験よりも製造業に転職してからのキャリアの方が長くなってしまいました。
不思議なもので、整備士として経験したスキルは身体に染みついていますので、愛車のメンテナンス程度でも続ければ無駄になりません。
むしろ製造業では超重宝されますので、家族を持ったり、安定した職に就きたい方にはとてもおすすめできます。
さらに、転職サイトに自信のキャリアを掲載すると気づくのですが、整備士としてオファーがひっきりなしに届きます。
皆さんご存知の通り、整備士業界は人手不足ですので、整備士を辞めて10年以上が経過する私のもとにもいまだにオファーが届きます。
いつでも戻れる環境はありますので、「整備士」と「製造業」のキャリアを検討してみてはいかがでしょうか。


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